#79 命が燃え尽きるまで
「ね、まだかな」
「もうすぐ、あっ」
「見えた!」
上空を通り過ぎていくのは国際宇宙ステーション。
太陽に照らされ、星のように輝いている。
「あっという間だね」
「そうだね」
一直線に遠ざかっていく。
「ISSってさ、2031年に地球に落とすんだよね」
「うん、本当はもっと早くに運用が終了するはずだったってネットニュースで見たよ」
僕たちは、その光が見えなくなっても空をしばらく見上げていた。
希望を詰められるだけ乗せて飛び立って。
地球に帰ってくるときは、
その身を燃やしながら墜ちてくる。
その輝きは。
9/15/2023, 9:45:15 AM