森川俊也

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喧嘩した翌日。
意地っ張りな君は何も言わずに家を出ていった。
引くに引けなくなった僕も何も言わなかった。
それでも、仕事をしているときも君のことばかりを考えていた。
先に帰ってきていた君は案の定何も言わずに、いつもしている挨拶すらせずに寝室に入っていた。
僕は扉越しに声掛けようか迷い、喉まで出かかったところでやめた。
次の日も、その次の日もずっとそんなことが続いた。
やがて君の背はどんどん小さくなった。
僕もどんどん元気がなくなっていった。
久々に僕が君より早く帰った日。僕は君を玄関で待っていた。
君は帰ってくると少し驚いた顔をして、その後すぐに立ち去ろうとした。
僕は、少し迷って、君を抱きしめた。
「何すんの!」
君の声を久々に聞いた。
前までは嫌だった怒った声も今となればすごく嬉しかった。
「この間はごめん。言い過ぎた。」
僕がそう謝ると、君も
「こっちこそごめんなさい。それに、ずっと意地張ってた。」
そう、謝ってくれた。
その後、仲直りをした僕らは空いてた空白を埋めるようにずっと話していた。

11/4/2024, 12:11:37 PM