『プレゼント』
そういえば、明後日はクリスマスだったっけ。
街のイルミネーションを見て、ようやくその事実に気づく。
もともと行事には疎いほうだったけど、こんな直前まで忘れていたのはきっと、一人暮らしをはじめたせいだろう。
県外の私立大に進学して、親元から離れた。
友達もいるにはいるが、まあ、類は友を呼ぶというもので、イベントそっちのけで我が道をゆく人ばかり。誰もクリスマスの話題なんて出しやしないのだ。
忘れていたとはいえ、気づいてしまっては何かしたくなるというもの。
パーティ……は、さすがに今からじゃ準備が間に合わない。
……ケーキ?無理だ。私が作れるわけがない。
ツリーも、買ったところでそのあとの置き場所に困る。さて、どうしたものか。
考えあぐねた結果、私に出せた最善の選択は、プレゼントだった。
誰でもない、自分へのプレゼント。
昨年までは親がくれていたから。自分で自分のプレゼントを選ぶのは、実に「おひとりさま」らしくて、なんだかいい。
決めてしまうと、それが名案に思えてくるのが私の性だ。
私は早速、ショッピングモールに向かった。
12/23/2024, 11:07:44 AM