※前回の続きです。
彼が死んだ、死んでしまった。もういない、いなくなってしまった。なぜ、なぜ死んだ? 私だ、私が。私が、彼を。殺した、殺してしまったんだ。
「あは、はは」
彼が傍にいるようになってから、私は変われたと思っていた。無情で、無感情で、無関心で。機械のように冷徹だった私。もうどこにもいないと思っていた。少しだっていい、彼のような優しくて温かみのある人間になれたと思っていた。それは単なる私の思い込みだった。
彼が死ぬことを知ってたのに、黙っていた。救おうとしなかった私は無情だ。
彼が死んだのに、悲しいとも思わない。ただ罪悪感に苛まれているだけの私はただの自分勝手。無感情だ。
彼がいつ、どこで、どんな風に死ぬのか。関心がなかった。知ろうとしなかった。私は無関心なのだ。
死んでもいいと思っているんでしょ、どうでもいいと思っているんでしょ、彼のこと。彼が死んだのは私のせい。私が何もしなかったから、彼は死んだ。彼のことを想えていないから、死んだ。死ぬ時のストッパーにすらなれないの、私は。だってそうでしょ? 彼のことを、ちゃんと愛せていなかったんだから。
「───」
『──どうしてこんなにも世界は理不尽なのか』
6/10/2025, 2:17:04 AM