我が主は
強く逞しい体で、
頭が良く、統制力もある
そして妖術が使え、とても強い。
俺は、
逞しい体なんか持ってないし、
特別頭が良いわけじゃないし、
妖術が使えるわけじゃない。
貴方との共通点といえば、甲賀衆に産まれた事だけ。
太閤豊臣秀吉の配下として、共に闘っただけ。
元々、天と地との差があった。
目の前で散っていった貴方を見て、
俺は自分の無力さを憎んだ。
なんで、強い体じゃなかったのか
なんで、頭が良くなかったのか
なんで、妖の技を取得できなかったのか
なんで、俺じゃ無かったのか
なんで…なんで?
なんで!!!
ないものねだりも甚だしい。
そして、俺は主の仇にも負けた。
伊賀者のくせに、陽光の様に眩しく、強かった。
京の街と秀吉の為にあんなにも強くなれるなんて…
あぁ、なんで俺はこんなに弱いんだ…。
仇に負け、貴方が居ないこの世など、生きている意味など…。
「佐助」
「っ…!?」
「下らない事をするんじゃない。生きろ、生きて…殿を守れ。そして、殿が道を外れたと感じた時は、甲賀衆の、全てを見ていたお前の手で。処罰を下すんだ。」
殿…
俺の殿は貴方しか居ない…。
でも…俺の唯一の"殿"の命だ。
俺が…俺がやるしかないんだ…!
「はっ…!白雲斎様の命、しっかりとお守りいたします!!」
「…達者でな」
「はくうんさ……ま…、…ッ白雲斎さまぁあああ!!」
一頻り悲しみに暮れた俺は、太閤秀吉様の側近として、秀吉様を守る為、我が主、白雲斎様の命を守る為、更に強くなる事に専念した。
"ないもの"は俺の心の中で俺をいっそう強くしてくれるから。
参考
カブキカフェナゴヤ座「GOEMON.-桜華絢爛春ノ眺ハ嗚呼絶景」
より
3/26/2026, 1:42:48 PM