近所の高校生が眉毛を剃って退学になったらしい。
近所の噂話で聞いた。
ああ、先月から残業の帰宅時に真っ暗の公園に少年がいたのはそういうことかと私はひとりでに納得した。
危ないので何度か声をかけようともしたが、夜中に知らないおばさんに声をかけられるのも一緒かと思い、何となく遠慮していた。
それに残業帰りはそんな余裕がやっぱりなかった。
眉毛なんてそんなしょうもない校則無くせばいいのにとも思うし、校則は守らないととも思う。
独身で子供もいないが、子供が自由に育ちうる環境を守ろうと思って日々の過重労働をこなしている身としては、こんなのは泣きたくなる話だった。
イケない子を見つけたら、私は君たちのために頑張ってるんだから、そんなことしたら駄目でしょうと叱ってしまいたくなる。
本当は、それこそ子供の自由を奪っているのだけど。
嘆きたい夜の風は冷たい。
ちょうど公園を過ぎるとき、いつもの場所に彼を見つけた。
やっぱり今日も知らんふり。
残業帰りの日はダメだ。叱ってしまいたくなるから。
真っ直ぐ進むと、いつもの如く後悔で喉が詰まる。
彼の家庭環境は知らないけど、
この世ってそんなもんだよねと世の中の悪口を一緒に言ってくれる大人がいなくていいのかな。
また残業帰りに会っても、きっと声は掛けれない。
でももしいつか、休日の眠れない夜の散歩で彼と巡り会えたら、その時は温かい缶のポタージュを持って傍に行ってみようかな。
10/3/2024, 12:41:24 PM