「星よりも月よりも」
片手で足りるほどの星しか見えない街で育ったからだと言い訳をする。
満天の星空を見ても、私にはどれが何座なのかわからない。
「やっぱり、君は星に興味が無いか」
寂しそうな彼の言葉。
思わず足元に視線を落とす。
「あれが秋の四辺形だよ」と言われても、どれなのかまったくわからない。
興味が無いと言われても仕方がない。
正直なところ、雲が空を覆っていない限り、どんな場所でも見ることが出来る月の方が好きだ。
こんなこと、決して言わないし、言うつもりもないけど。
「星占いは好きなのになぁ」
追い討ちをかける彼は、ホロスコープのことをまったく知らない。
「それとこれとは別」
そう言って、私はため息をついた。
少し冷えてきた気がする。
空ばかり見てないで、こっち向いてよ。
────星座
10/5/2024, 4:13:24 PM