鳥のように空を飛んでみたかった。
自由に羽ばたく鳥になりたかった。
人間として生まれた事を後悔し、通学路の途中で囀る小鳥に想いを馳せ、空飛べる日を夢見ていた。
僕は鳥になれなかった。
屋上からなら、僕は飛べるんじゃないかと思った。
結局落ちていくだけで、破裂音を聞いた。
自分の身体が壊れていくのが分かった。
何も見えない、聞こえない。
鳥になりたかったのに。
どうして神様は僕を人間としてこの世界に生み出したの?
鳥になりたかった、美しく空を飛び回る鳥に。
こんな身体要らない、飛べもしないこんな汚い人間の身体は嫌いだ。
僕は鳥になりたい。
もう誰にも見下されたくなかった。
人間のように色々な事をしてみたかった。
自由に生きる人間になりたかった。
鳥として生まれた事を後悔し、道行く人間に想いを馳せ、自由に生きられる日を夢見ていた。
僕は人間になれなかった。
「よだか」としてこの世界に生まれた僕は、常に蔑まれていた。
もう全てが嫌になって、どこに行けば良いのか尋ねて回ったけれど、結局誰も何も僕に道を示してくれはしなかった。
そしてついに、僕は星になった。
人間になりたかったのに。
どうして神様は僕を鳥としてこの世界に生み出したの?
人間になりたかった、美しくて個性豊かな人間に。
こんな身体要らない、醜くて誰にも好かれなかったこんな鳥の身体は嫌いだ。
僕は人間になりたい。
もう誰にも見下されたくなかった。
宮沢賢治『よだかの星』参考
8/21/2024, 11:28:12 AM