一尾(いっぽ)

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→名作探訪 第56回 
  〜寝具メーカー『蜃気楼閣(株)』の夢眠布団『蝶よ花よ』

空気のように軽いその布団にひとたび包まれれば、あっという間に夢の入り口に到着する。
蕩けるほど甘く、繊細な肌触りは体を優しく撫でる。まさしく『蝶よ花よ』の過保護感だ。
安夢を約束してくれる布団だが、メンテナンスを含めたクリーニングの一切を同社が取り仕切っているため、サブスクリプションでのみの取り扱いとなっている。
決して解体できないこの布団の中身の都市伝説は、多くの読者が知るところだろう。虹の根元雲であるとか、蛤の吐く糸煙であるとか、入眠枕『眠眠階段』で有名な羊工房の羊毛を使っているとか……。
思い切って真相を、蛤田(こうた)社長に尋ねてみたが、答えてはいただけなかった。氏の温和な微笑みは、難しいことは考えず健やかな夢に揺蕩うよう、筆者を諭しているようだった。

ホームページ無し。ドリームページ有り。
夢の中にて申し込み可能。

テーマ ; 蝶よ花よ

8/8/2024, 4:23:35 PM