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『雪原の先へ』


 視界は真っ白で何も見えない。
 降り注ぐ大粒の雪が瞳を打つたび、眼球が凍りつきそうな痛みが走り、思わず目を閉じてしまう。

 一度目を伏せると、そこは深い暗闇の世界だ。
 暗闇の番人が、どこまでも、どこまでも、私を闇の底へと誘おうとする。

 その誘惑に負けてしまえば、もう私に明日はない。
 頭では理解していても、ゆっくりと、しかし確実に、闇の番人は私のすぐそばまで迫ってきている。

 だから私は足を動かし続ける。
 一歩、一歩、確実に。
 前に進むため。

 先に言っておくが、これは決して不慮の事故なんかじゃない。
 雪原には、私の自らの意思で入っていったのだ。
 普通に暮らしていれば、こんな苦労をすることは無かっただろう。
 
 転ばぬ先の杖とはよく言うが、後悔先に立たずもよく耳にする話だ。

 何にせよ、もはや私は、この雪原の先に何があるのか確かめる他ないのである。

12/8/2025, 10:43:45 AM