ふと、前を歩く友人の後ろ姿を見る。その背中は、初めて会ったときに比べると随分と小さくなっているような気がした。
もし何か大事があったとき、目の前の優しい心の持ち主は私を頼ってくれるのだろうか?
きっと心配させないように最期まで隠し通すのだろう。そして誰にも見つからない場所でそっと眠るのだろう。それが最善策だと信じて。
けどそんな終わり方は私が許さない。手を差し伸べられたあの日から、私はこの人と共に歩くと決めたのだ。
「ねえ、行かないでよ」
随分と前に行ってしまった背中に呼びかける。
「大丈夫。ボクは何処にも行かないよ」
そう振り返って笑いかける友人は少し寂しげで、やはり何処か遠くへ行ってしまうような気がした。
私は友人に追いつくと、遠くに行かないようにその袖を強く握り締めた。
【行かないで】🎼
10/24/2023, 4:23:38 PM