とある恋人たちの日常。

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 この都市に来て、大切な人が増えてしまった。
 大事な人を作りたくなかったのに。
 
 おっちょこちょいな彼女から目が離せなくなって、気がついたら目で追うようになってた。
 その笑顔に癒しを求める日が増えていたんだ。
 
 自分の気持ちを押し付けてくる人達がいて、そこには俺の意思や気持ちを見てくれなかった。
 疲れて疲弊した時、偶然会った彼女の笑顔か嬉しくて、俺の心のモヤが晴れていく。
 
 彼女の働いているお店を遠巻きに見かけると、お客さんと笑顔で話している姿に胸がチクリとした。
 
 この気持ちを育てたくないのに。
 届かないかもしれないのに。
 
 俺の意思を無視して想いは育っていくんだ。
 
 ねえ。
 手を伸ばしても……いい?
 
 
 
 おわり
 
 
 
三九七、届かないのに

6/17/2025, 2:22:54 PM