萌葱

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「この場所に星のカケラを埋めたの」
彼女は土にざくざくとスコップを刺しながら言った。
「星のカケラ?」
「そう、星のカケラ。…あっ!」
彼女はしゃがみ込んで穴に向かって手を伸ばした。
どうやら見つかったらしい。
彼女は土の中から小さなお菓子の缶を掬い出した。
満足そうに笑い、僕に向かって手招きする。
僕が寄っていくと彼女はバコッと大きな音を立てて缶の蓋を開けた。
覗き込むとそこに入っていたのは封の中に入った金平糖だけだった。
僕はなんだか力が抜ける思いがした。
「…星のカケラって、…金平糖じゃん。」
僕が彼女を振り向くと、彼女は残念そうな表情を浮かべていた。
「何らかの化学変異が起こって本当に星のカケラになってないかなって期待してたのに」
きっと小さな頃の彼女はそれを願って金平糖を埋めたのだろう。きっとこの事実を知ると大いにがっかりする事だ。けれど大きくなった彼女もまた、心から落胆している。
僕は思わず顔を綻ばした。なんていうか、僕の彼女は本当に可愛い。
そんな僕を尻目に彼女はポケットから玩具の指輪を二つ取り出した。金平糖の横にその二つを新たに入れ、蓋を閉じる。
「今度は何に変身させようとしてるの?」
彼女は僕を見てニッコリ笑って答えた。
「星のカケラのペアリング!」


星のカケラのペアリングってのがあんまり気に入らなかったけどそれ以外思いつかなかった…。

2/12/2023, 6:56:00 AM