始めて名前をもらった日 【お題:私の名前】
名前。人を識別するための呼称。重要じゃないもの。なのになぜ、
「う~ん、どうしよっかな~」
なぜこの“人”はこんなにも悩んでいるのだろう。
「アリス様、もう悩み始めて30分53秒が経っております。」
「え~!?もうそんなに経っちゃったの!?」
「はい。別に適当に決めてしまえばよいのではないですか?」
「そんなわけには行かないって!だってあなたの名前を着けてるんだよ?」
「私はなんでもいいです。」
「そんなこと言わないの!名前って重要なんだから!」
「...?名前と言うのは個体を簡単に識別するためのものだと聞きました。なら分かればなんでもよいのではないですか?」
「そんなわけないでしょ!誰よ!私のドールにそんなこと吹き込んだやつ!」
ドール。ある人によって創られた貴族の従者。命と知識を吹き込まれ、ドールは人間のように動く。
感情は個体差があり、もとからあるタイプと成長する過程で感情が芽生えるパターンがあるらしい。
各言う私もドール。アリス様に配属された。姿形も全く別で違う存在だと思い知らされる。
「あっ、決めた!あなたの名前はソフィアよ!」
「ソフィア?」
「ええ、いい名前でしょう?」
「ソフィアですね。覚えました。」
「ええソフィア、出掛けましょう!」
「何処にですか?」
「ええっと、う~んと、何処か!」
「適当ですね。」
「まあ出掛けてから決めたらいいじゃない」
「じゃあ外出の準備をしてきます。」
「は~い、言ってらっしゃい。ソフィア」
...名前なんて重要じゃない。だけど、アリス様に着けてもらったこの名前、
「大事にしなきゃ...いけませんね...」
7/20/2023, 11:29:41 AM