『1枚だけの写真』
パシャ
その音に彼女が振り返った。
「…撮ったでしょ」
「撮った」
撮ったと正直に言うとさらに不満そうな声を上げる。
「ちょっとー!撮らないでって言ってるのにー!」
彼女が背伸びをして俺のスマホを撮ろうとするが、手を上に上げ届かないようにする。
「消してよー!」
「嫌だね、消さない」
写真を消して欲しい彼女と消さないと言う俺で追いかけっこが始まった。
楽しい、最高の時間だった。
「……夢か」
見慣れた天井が目に入る。今まで見ていた彼女は俺の思い出の中だったのだ。
ベッドのサイドテーブルに置いてあるスマホを手に取り、写真アプリを開く。お気に入りの欄を開くと、あの時の写真が残っていた。
「逆光で何も見えねー…」
写真は逆光になっていて彼女の顔がほぼ見えなかった。
今となっては、彼女がどんな顔で笑っていたかも思い出せない。
「もっと綺麗に撮るんだったな」
後悔してももう遅い。
【逆光】
1/24/2026, 4:33:03 PM