すすり泣く音。若々しい歌声。堂々とした宣言。
僕達は今日、卒業するのだ。
堅苦しい先生の挨拶。
風に吹かれてやってくる桜の花びらが足元を彩る。
別れと成長の証を受け取った友は、
僕の知らない顔をしていた。
桜の木の下で、最後の集合写真を撮る。
ふざける者も、涙目な者も、みな笑顔だった。
今までお世話になった先生も、
こんな時にまでそんな先生に叱られている彼も、
どこか嬉しそうで、悲しんでいた。
校長先生の長い話は、何故か苦だと思わなくて。
友達といつものように話そうとしても、
声より先に涙が出てきてしまった。
そんな僕をひとしきり笑った後、
一緒に泣いてくれたいつも通りの君に、酷く安心した。
別れは寂しくて、きっと好きにはなれないけど。
変わらない絆とこの先の出会いに思いを馳せて。
春爛漫な世界に、僕達は旅立つ。
4/10/2024, 4:29:01 PM