「本当によかったの?せっかくの誕生日なのに、こんな公園のベンチで外飲みなんてさ」
誕生日にぼっちなんていう可哀想な男友達のために、せめてケーキくらい奢ってあげたのに、と付け足して言うと、高虎は「でもそれ、コンビニのやつだろ?」と肩を揺らして笑う。つられて私も「正解」と歯を見せた。
「でもさ、やっぱ寒いね」
「そりゃ夜だからなぁ」
「まぁ……そうだね」
さすがに男友達とはいえ、彼がひとりで住む家に遊びに行くのははばかられる。
私は、彼女でもないし。
「……高虎もさ、早く彼女作りなよ」
「んー?なんで?」
「そしたら誕生日にこんな、女友達と公園で外飲みとかいう侘しい夜を過ごさなくてよくなるし」
「バカだなぁ」
高虎はそう言って笑うと、私が両手に持っていたチューハイの缶を取り上げた。
思わず彼の方に顔を向ける。いつの間にか一瞬で距離を詰められていて、唇に、彼の飲んでいるサワーのレモン味を感じた。
「特別な夜にするために、お前を呼んだんだよ」
1/21/2023, 12:46:54 PM