『この場所で』(創作)「夜はまだ寒いな。」ネックウォーマーを引き上げながら、つぶやいた。職場を出て足早に路地裏を抜ける。誰にも会わないように人気のない道を選んだ。目撃者はいないはずだ。待ち合わせのビルの前に、あいつはもう来ていた。「おまたせ。早いね。」わたしはにこやかに手を振りながら近づいた。隠し持ったナイフが妖しく光る。あの人が命を断ったこの場所で、わたしも命をかける。こいつだけは許さない。
2/12/2024, 9:24:41 AM