「どこ行こう」
行かないと。
逝かないと。
あの方に言われたから。
使命を果たさなければ。俺は..
死にたくないから。
痛いのはいやだ。
だから俺は行くんだ。
あと少しで使命を果たすことができる。
あと少し、あと少し頑張れば終わるんだ。
ターゲットを誰にもバレずに殺せば、まだ生きていられる。
もうターゲットはすぐ近くに居る。
あいつを殺せば良い。
あいつが何をしてボスに狙われたかは知らないが俺の命のために死んでくれ。
ターゲットを発見した。
あと3m。あと3歩。走れば0.3秒。
もう少し。
...ターゲットがこちらを向いた?
バレたか?いや違う。見ただけだ。そうだよな?
あいつは俺に声をかけてきたんだ。
ごめんねって。
私のために死んでくれない?って
それが嫌なら、ボスを殺して。って。
あいつと話した。
どうやら「アレクシア」と言うらしい。
名前があるのは羨ましい。俺は名前なんてない。
あったのかも知れないが、組織に入れられた時に捨てた。
俺にも親がいたら、まだ昔の名を語っていたのかも
しれない。
話を聞くと、アレクシアはボスを裏切った組織の四天王の一人娘らしい。
ボスは裏切った奴が許せなくて、大切な一人娘を奪おうとしたのだろう。
なんて最低なんだ?
あんな奴がボスなんて最悪だ。
アレクシアは俺に提案してきた。
ボスを殺そう。と
ボスを殺せばもしかしたら俺はどこにだって自由に行けるようにるのだろうか。
別の大陸、海鮮の美味しい国、猪肉が食える国。
どこへだって行けるのだろうか。
...乗った。
俺はそういった。
ボスを殺した。
簡単ではなかった。
かつて自分の部下だった奴が俺を裏切り者と罵ってきた。アレクシアの父もこんな気持ちだったのだろうか
だがここまで言われたら部下達を切り捨てるのにも
躊躇わなかった。ボスは力尽きた。
ようやく俺は自由になった。
何度も死のうと考えた。
これ以上自分のために人を殺せなかった。
だから死のうと思っていた。
でも俺は死ねなかった。
自分が思っていた以上に俺は死にたくなかったんだ。
でも、だからこそ後悔している。
俺が今まで殺してきた、男、女、子供だってまだまだ生きたかったんだ。
俺はその願いを無い物だとしてきたんだ。
これは一生、死んでも背負わなければならないこと。
でも俺は。
最低だ、俺は最低だ。背負わなければならないと知った上でもこんなにもまだみぬ世界に心を踊らせているんだ。
あぁ最高だ。
行きたい。
生きたい。
どこか遠くへ行きたい。
どこかで休んでからでも、背負うのは遅くないだろ。
行こう。
あぁ...どこへ行こうか。
4/24/2025, 7:19:53 AM