─海の底─
部屋の掃除をしていた時、ふと目についた。
中学校の頃の卒業アルバム。
今は大学生だから、結構昔の物だった。
中学校の思い出といったら、彼氏ができたことかな。
平凡な学生だったのに、行動力は人一倍あって。
入学してずっと好きだった人に告白した。
相手は一つ上の先輩で、校舎で迷った時に助けてもらって惚れたんだっけ。
先輩は少し悩んだ後、優しい笑顔で「いいよ」って答えてくれて。
それからデートとかも行ったけど、ある日パタリと音信不通になった。
やっと登校してきた時には一年近く経っていて。
なんでって問い詰めても何も言わないし。本当にショックだった。
でも急に「会いたい」って言ってきて。
不思議に思いながらも会ったその時、
貴方が打ち明けてくれた。重度の鬱病になってたって。
友達に裏切られて、誰も信用できなくて、誰にも相談できなくて。
まるで海の底にただ一人、沈んでるみたいだったのだと。
心を落ち着かせるのに、一年も掛かったのだと。
でもそれを乗り越えて、今は私の隣で笑ってくれている。
その笑顔を見るだけで、私は幸せだ。
辛い過去を思い出す暇も無いくらい、笑わせてあげたい。
私はそう、心に誓った。
1/21/2024, 5:46:48 AM