小音葉

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傷だらけの手を伸ばす
戦火が揺らめく灰の下、燃え盛る森の奥
あるいは、僅かな光も届かぬ海の底
どこかに眠るはずのあなたを求めて
沈黙の空を飛び続ける

道を違えても友であり続けると誓った
並び立つならば背を預け、例え刺されても恨まない
今もそう
ぎらつく瞳の陽炎が
張り詰めた弦の乾いた声が
私を前にした時だけ和らいだこと、よく覚えている
俄かに潤み始める薄紅の頬を
偽らざるケロイドの心を
そっと撫でて抱き締めて、溺れさせてしまいたかった
きっと一夜を越えたなら、私は次も望むだろう
これが愛だろうか
これが人の、らしさというものか

応答せよ、応答せよ
約束を交わしたシリウスよ
今一度、時を動かして
氾濫する感情を知らせておくれ
この濁流を知るはあなただけ
孤独な鳥が火を招く前に
受け止めてくれるならば、どうか
応えてくれ、たった一言で良い、応えてくれよ
ただ刻まれる音の波を乱してほしい
あなたが守った蒼穹は美しいけれど
会いたい、会いたい
これが愛だと言うならば、頼むから

耳障りなノイズに、遠吠えが混じった気がした

(どうしても…)

5/19/2025, 11:53:23 AM