(手のひらの贈り物)(二次創作)
いつの間にか日はとっぷりと暮れており、バトルゾーンの賑やかさが風に乗って耳に届いた。カラスバは、ようやく一息ついて、手近なベンチに腰を下ろす。少し離れた場所にはジプソがおり、先ほどまでの自分と同じようにメガ結晶の掃討に勤しんでいる。
「つかれたわー」
ジプソ以外の下っ端たちがいないのをいいことに、本音を零す。するとまるで答えるかのようにセイカが上から降って来た。
「おつかれさまです!」
「なんや、セイカか」
「なんや、とはご挨拶ですね」
スマホロトム片手にふわりと降りて来る様は優雅だが、どこから降りて来たのかは確認を要する。カラスバの記憶が確かならば、この辺は高層アパルトマンに囲まれた囲繞地だ。
さて、朝からメガ結晶の駆除に走り回っていたのはセイカも同じらしい。というのも、異次元ミアレの影響か、急にミアレのそこここに大量のメガ結晶が出現したのだ。サビ組だけでなく、MSBCやジャスティスの会も同じように奔走していた。
「今日はですね、お疲れのカラスバさんにとっておきのプレゼントがあります」
「何や、セイカか?」
「こちらです!」
セイカが手を出したので、その下に手のひらを差し出すと、セイカの手の中から何かがぽすんと落ちてきた。ほかほかしたそれは、小さいけれど、確かな存在感を発している。おまけにMZ団ロゴシールまで貼ってあるではないか。
「カイロです」
何でも、調子乗って街のそこここに波乗りを発動させていたら、何故かピュールに捕まり皆にカイロを配ってくるように言われたのだとか。誰から行こうかと考えた時、真っ先にカラスバの顔を思い出したので駆け付けたらしい。
「下っ端の皆さんに訊いたら、この辺だと教えてくださって」
「へえ。オレが一番ってのは、気分がエエな」
どうせセイカには深い意味はないだろう。だが、無意識のうちにでも選ばれたので気分がいいカラスバである。それ以上の進展は、これからでいいだろう。セイカのもたらしたプレゼントは物理的にも心理的にも温かった。
12/19/2025, 11:53:59 AM