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「遠くにいても」

高校二年生の蒼(あおい)と悠真(ゆうま)は幼稚園からの幼馴染。どんな時も一緒にいて、苦しいことも楽しいことも共有してきた。お互いがいるのが当たり前の存在。しかし、高校に進学してから二人の関係に少しずつ距離が生まれ始める。蒼は陸上部で全国大会を目指し、悠真はバンド活動に夢中。二人はそれぞれの夢に向かって走り出すが、次第にすれ違い、話すことも少なくなっていく。

蒼はある日、練習中にケガをしてしまう。夢の全国大会が危うくなり、焦りや不安で心がいっぱいになる。しかし、その時一番頼りたい悠真とはほとんど連絡を取らなくなっていた。自分の弱さを見せたくない蒼は、ますます心を閉ざしてしまう。

一方、悠真はバンドのメンバーとの関係が上手くいかず、悩んでいた。バンドの夢を追う中で、仲間との衝突や音楽の方向性に迷いが生じていたが、蒼とは最近話す機会がなく、自分の悩みを相談できる相手もいないと感じていた。

そんな中、高校最後の文化祭が近づく。悠真のバンドがメインイベントとして出演することが決まったが、緊張と不安で思うように演奏ができない。蒼も文化祭での陸上部のパフォーマンスを控えていたが、ケガの影響で出場できるかどうか分からない状況だった。

文化祭当日、蒼は悩んだ末に悠真のバンド演奏を見に行くことを決心する。演奏中の悠真を見て、彼がどれだけ本気で音楽に向き合っているのかを初めて実感する。そして、悠真もまた、客席に蒼がいることに気づき、彼の存在が自分にとってどれほど大きかったのかを再認識する。

演奏後、二人はようやく言葉を交わす。これまでのすれ違いや、お互いに支え合えなかったことへの後悔を伝え合いながら、それでも友情が続いていることを確かめ合う。「夢に向かう中で、すれ違うこともあるけど、それでも友達であることは変わらない」。二人の友情がさらに深まる瞬間、読者に感動を与えるクライマックスとなる。

最後には、蒼がケガを乗り越えて陸上部の大会に出場し、悠真が音楽の夢を追い続ける姿が描かれ、二人はそれぞれの道を進むが、遠くにいても友情が続いていることが暗示されて物語は終わる。

10/20/2024, 1:40:58 AM