この世界にはいくつか『ルール』がある。
迷い子を住人にした後に元の世界に返してはいけないとか、住人の過去の記憶は消さなくてはならないとか。
本来は演奏者くんがいる、ということもルールとしては違反であるけど、今のとこ黙認されてる。
「権力者くん」
それでも今の状況は果たしてルール違反か否かと言われれば上の取り決め次第ではあるもののルール違反になることはある。
「権力者くん?」
となれば馴れ合うのはよくない。
でも残念、というかなんというか、ボクは彼に行為を抱いてしまった。
「メゾ」
「! ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え、演奏者くん」
突然名前を呼ばれて驚いてしまう。
というか演奏者くんにボクの本名がバレてたことも驚く要素ではあるのだけど。
「やっと気づいたね。何か考えてたみたいだけどどうかしたのかい?」
「⋯⋯⋯⋯別に。ボクにも色々あるんだよ」
「ふふ。今はそういうことにしとこうか」
彼は微笑んで去っていった。
⋯⋯⋯⋯何だか色んなことがバレてるのかもしれないなんて一瞬過ぎったけど、まあそんなことは杞憂だろうと頭からそのことを消した。
4/24/2024, 1:59:50 PM