とある恋人たちの日常。

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 九月はほんの少しだけ楽しみな季節。
 来年に向けてスケジュールを管理するアナログの手帳が沢山出る時期だ。
 
 世の中はスマホやパソコンでスケジュールを組んでいる。けれど、私はスケジュールを手帳にしているのだ。
 やっぱり忘れないようにするなら、手書きが一番だと思っている。
 
 今年の新しい手帳はどうしても欲しいものがあった。私も彼も大好きな青空をカバーにした手帳が出るのだ。これは絶対に欲しい。
 しかも、どの手帳にするか悩んでいる時に、後ろから彼が何を悩んでいるかを聞いて、この手帳を見せたら、彼も使ってみたいという話になった。
 
 発売日当日。
 サーバ落ちや、接続できないことを繰り返しながら、歴戦の猛者を潜り抜けて、欲しい手帳を買うことが出来た!
 
 今日はふたりの仕事が休みの日で、待ち望んだ手帳が手元に届いた。
 
 少し大きなダンボールを受け取ると、私は彼の元へ足早に行き、心踊るようにそのダンボールを開ける。
 そこには購入のお礼のメッセージと共に二冊の手帳と、二冊分の手帳カバーが入っていた。
 
 彼はダンボールの中身を取り出し、それぞれの前に手帳とカバーのセットで置く。
 
 ああ、ダメ!
 顔がにやけちゃう!!
 
 それを見たのか、彼がくすくす笑った。
 
「楽しみだった?」
「そりゃあもう!! それに、来年はお揃いですね!」
 
 彼は目を細めて、優しく微笑んでくれる。
 
「どう使うか、参考にさせて!」
「はい!」
 
 スケジュールだけじゃなくて、日記にも、他の記録帳にも使える手帳。
 なにより、大好きな彼とお揃いになったのは嬉しくて、毎年使っている手帳だけれど、来年はもっと楽しく使えそうだと思った。
 
 届くまでもそうだったけど、実際に使うまでも心が踊るような気持ちだった。
 
「あなたを思い出せるものか増えました!」
 
 
 
おわり
 
 
 
一一四、踊るように

9/7/2024, 11:06:07 AM