たぬぐん

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「遠雷」

寝室の窓に雨が打ち付ける音に苛立ちながらも、何とか寝付いた一時間後、響いた雷の音で私は飛び起きた。

もう我慢の限界だ。私が何をしたと言うんだ。
ただでさえ明日は月曜日で、憂鬱な気分だというのに。

ぐっすり眠って体調を万全にすることすら許されないのか。

だが、相手は自然現象だ。隣の部屋の騒音とは訳が違う。
怒鳴り込んだところで会話は通じないし、そもそもどこに怒鳴り込めばいいのか。

いくら霊長の頂点に立とうと、人間は自然には無力なのだ。

鳴り止むのを待つか、遠くで響く轟音に慣れるしかない。

文明の利器である耳栓を使う方法もあるが、耳に異物感があるのが気に食わない。
次は壁が厚いシェルターのような物件に住もうか。
いや、やめておこう。家賃がとんでもない額になりそうだ。
数百年後も人類が発展し続けていたら、人類は天候すら操作できるようになっているだろうか。そうなれば便利だろうが、自然に対する情景が失われそうだ。
それは嫌だなあ。

そんな事を考えているうちに、いつの間にか私は眠りについていた。

8/23/2025, 10:38:36 AM