300字小説
歌と共に
「ワープ航法以前の恒星間探査船だな」
領海内に流れてきた不審船の内を捜索する。
「……ということは冷凍睡眠で目的星に到達するタイプでしょうか?」
「ああ」
俺はボイスレコーダーをオンにした。
『……君と一緒に……』
エネルギー不足で慣性航行に移行する旨と眠りにつくまでかけたのだろうか、今も歌い継がれる歌が流れる。
「キャプテン!」
クルーに呼ばれ睡眠室に入る。二つ並んだカプセルを覗き、首を横に振る。記録によると、この二人は上司と部下であり、パートナーだったらしい。
『……君と一緒に……』
甘く切ないサビが流れる。
この歌のように望んだとおりに一緒に逝けたのだろうか?
繰り返すメロディに俺は手を組み、祈りを捧げた。
お題「君と一緒に」
1/6/2024, 12:45:58 PM