泣けなかった。笑えなかった。
今日も俺は鏡を壊す。自分を壊す。
エイソプトロフォビア。言い換えると、鏡恐怖症。俺がなった原因は分からない。
たぶん募りに募っていた苛々のせいだ。
鏡を壊しても病気だから仕方ない、と。
無条件で鏡を壊していい世界は俺にとって素晴らしいものだった。
パリンッ
心地よい音と共にぴりっとガラスが刺さった快感が走る。
それと同時に俺のなかでなにか壊れていく。
もっともっと。
もっと壊れていけ。
最初から狂っていたのは、俺のほうか。
はたまた、世界のほうか。
きっと誰もが心の奥底で眠らせている。
世界の綻びは今日も広がるばかりだ。
─心の健康─ #32
8/13/2024, 1:31:07 PM