お題『未来図』
「ふぇねす、あのね、わたし、おおきくなったらふぇねすのおねえさんになるの」
不意打ちすぎる言葉に、俺は抱えていた本を全部落としてしまった。背表紙の固いそれらの角の直撃を受けた足の甲は何か俺に訴えかけてきたのかもしれないけれど、それに構っている余裕はない。
だって、主様が俺の姉さんになるだなんて!
いや、そんなの無理がありすぎる、だって俺には既に姉さんがいたわけで……。
俺が茫然としていると、話を聞いていたらしいベリアンさんがやって来た。
「あらあら、主様。それは素敵な未来図ですね。主様やみんなのためにいつも頑張ってくれているフェネスくんのことをたまには甘やかせてあげたいのですか?」
すると、主様は満面の笑みで頷いた。
「ふぇねすはね、あまえるのがじょうずじゃないから。だからわたしがあまやかしてあげて、それから……うふふ」
「うふふ? フフッ、その先は聞かないでおきましょうか」
主様は、まさかそんなに優しいお心遣いができるようになっていたとは……だけど、ベリアンさんのスマートさに凹んでしまうな……うぅーん……。
4/14/2025, 10:32:51 AM