箱庭メリィ

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やりたいこと
 ・一冊本を出す
 ・部屋の片付け
 ・日々5時間以上寝る。目標は6時間
 ・好きなことを見送らない
 ・上2つを実行するための時間管理

自分を守るために
好きな自分でいたいために。


/6/11『やりたいこと』






「明日、もしも世界が終わったらどうする?」

各々好きなことをして過ごしていた時のこと。
ふと言葉が漏れた。それは自身が思っているより問いかけとなって外に出てしまい、問いかけられた先の彼が本から視線を上げた。
眉間にしわを寄せた、随分怪訝な顔をしてこちらを見ている。

「何をくだらない質問をしているんだ? 君は」

くだらない質問。彼の答えも当然である。この世界の創造主である彼が『世界が終わったら』なんて自身の裁量でどうにでも出来てしまうことを考えるだけ無駄だからだ。
だから、もしするとしたらこうだ。『明日世界を終わらせることになったら』。

「はは、そうだね。きみには関係のないことだった。いいや、忘れて」

変な質問をした恥の誤魔化しと、本当にくだらない質問をしてしまったことを笑った。
そのまま会話も終了し、自然と各々の作業に戻った。



「そうだな、もし――」
「ん?」

それから30分ほどして小腹を満たすためのお供に紅茶を淹れていると、彼がぽつりとこぼした。

「もし本当に、不可抗力的に世界が終わることになるのなら――」

彼は視線は本に落としたまま、言葉を続ける。

「その時は、責任を持って君を消してあげよう」

ちらりと本のページを捲るのと同時にこちらに視線を流し、ニヤリと笑う。

自身の考えを見透かされているような瞳に目を逸らせなくなる。

(ああ、敵わないな)

どうしてあんな言葉が出てしまったのか。
理由は定かではない。もしかすると先日読んだ本の主人公と自分が重なったからかもしれない。

自身がここに来た時の願い。
存在を消したくて実行したら、迷子になってしまった。
そうしたら気まぐれに彼に拾われて、以来ここに居ついている。名目上、彼の世話役として。

それからしばらく経つが、気持ちが消えたわけではない。
しかし以前のように強くもない。むしろそう考えること自体少なくなってきている。
今回は、何かがきっかけでフタが開いてしまっただけで――。

こちらの驚いたような泣きそうな顔を認めると、彼は愉快そうに口角を歪めた。

「よかろう?」
「ああ、その時は頼むよ」
「喜んで」

そんな気は毛頭ない返事に笑みを返しながら、ティーセットを運んだ。
今日の茶菓子は彼の好きなアイスボックスクッキーだ。



/6/7『世界の終わりに君と』

6/11/2023, 6:57:05 AM