【恋のBPM・オーバー100】
やばい。
緊張してきた。
胸の鼓動がドクドクドクと早く打っている。
なぜならば、僕は今日の放課後、あの子に告白するからだ…!
遡ること昨日の昼休み。
「なあ、お前アイツに告白しないの?」
いきなり友達に言われて、危うく飲んでいたいちごミルクを吹き出しそうになった。
「い、いや、いきなり何だよ。別に、様子見てるだけだし?」
「いやビビってるだけだろ?」
こういうとき、誰だって臆病になってしまうものだろう。
もちろん僕も例外ではない。
「もうこの際告白しようぜ?はい、決まり!プロポーズ大作戦始まりでーす!」
勝手に決まってしまった予定にオロオロしていると、女子たちが声を掛けてきた。
「あんたたち、さっきからうるさい!
何話してんの?」
「あ、ちょうどいいー!
○○にさ、明日の放課後体育館裏に来てって言っといて!」
「え、なんで?」
「それはヒ・ミ・ツ」
「え、ま、まさか!?マジで!?」
「いや、コイツがな」
指を指された僕は、苦笑いを浮かべた。
いきなり決まってしまった告白の予定。
本当にどうしよう。
気持ちの整理がつかない。
一言目はなんて言えばいい?
いきなり「好きです!付き合ってください!」なんて言えるわけない。
というか告白なんて無理だよ!
振られたらどうするんだよ!
こうしているうちに、家を出る時間は刻一刻と迫っていた。
玄関で頭を抱えながら、本当に悩んだ。
だけど、行くしかない。
もう告白の予定は決まってるし。
なんて考えていると、急に自分の胸の内に秘める漢気が沸々と元気を出し始めた。
ここでビビってどうする?
告白するんだろ?
なら堂々と行けよ。
もう一人の(漢気がある)自分がこんな風に言ってくる。
もうこうなってしまったら、逃げることなんてできなくて、僕は勢いよく外に出た。
通学路を歩いている間も漢気のある自分は主張を止めることなど無かった。
今日告白しないでどうする?!
このままチャンスを逃す気か?
お前はそれでいいのか?
5分も経つと、段々と素の自分が洗脳され始めて、とうとう勇気を出した。
そうだ、今日告白しなければチャンスを逃す。
振られてもいいんだ、当たって砕けるんだ!
なんて、真面目に考えているではないか。
でも、恥ずかしくは無かった。
むしろ、こんなに堂々としている自分が誇らしかった。
学校に着いてしばらくするとHRが始まった。
そこで、担任は衝撃的な事を言った。
「えーっと、今日欠席しているのは、○○さんだけ?」
告白しようと思っていた相手が、休んでいるではないか。
心がポキっと折れてしまった。
9/8/2024, 1:02:07 PM