【君に会いたくて】
「よろしくお願いします」
「かしこまりました、では、こちらのワンちゃんを大切にお預かり致しますね」
ボクは狭い箱の中に入れられ、知らない人に預けられる。嫌いな箱の中に大好きなおもちゃと一緒に入れられた時から何となく察していたが、どうやらご主人はまたどこか遠くに出かけるらしい。
最初の頃はすごく寂しくて、いっぱい鳴いて知らない場所から飛び出したこともあった。
それからはご主人はおもちゃと一緒に知らない場所へボクを預けて遠くに行くようになった。
飛び出したあの日、ご主人はすごく心配そうな様子で戻ってきた。ボクはご主人ともう会えないのかと思っていたから、また会えてすごく嬉しかったのを覚えている。
「必ず迎えに来るから」
その時ご主人はそう言った。
「じゃ、また迎えに来るね」
今回も言う。ボクはその言葉を信じて待つだけ。そうすれば、また必ず会えるから。
だけど、実は最近お土産の方が楽しみだったりするんだ。
1/19/2024, 1:28:58 PM