✳空が泣く
体を引きずるようにして歩く。
もう、自分の命は長くはない、そう分かっていて傍らに静かに眠る竜の元へ向かう。
この竜もまた、息を引き取っていた。
レビナは竜に覆いかぶさると、静かに撫でた。
「⋯⋯よく⋯⋯頑張ったな⋯⋯」
あたり一面、いく人もの焼け焦げた人の成れの果てが転がっていた。
国と国との醜い戦争、それに狩り出されたのがレビナとこの赤い竜、ランヘルだった。
レビナの腹には剣が深く突き刺され、血が止まらず流れている。
痛みはとうに麻痺し、体の感覚も消えていた。
「そうだな⋯⋯また、あの世で共に空を架けようか」
力なく倒れ込むと、空からポツリポツリと雨が体を濡らす。
レビナは竜にそっと寄り添うと、瞳を閉じた。
9/17/2024, 9:41:09 AM