木綿

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幼い日の自分を見ているようだ。
遊びに来ていた息子の友達を見て、いつだったか、ふと思った。

時々する会話が大人びていたり、面白い着眼点をしている。それは感じたことがあった。
けれど帰っていく他の子達をよそに、静かに、誰かがいるこの空間にいる彼は。
きっと、ひとりで家に居るのが嫌だったのだろう。
皆が家に帰る夕暮れ、自転車でどこか家とは逆に。
サッカーボールをカゴに入れ走り去る彼を見た。
そして、仕事が忙しい両親は帰宅が遅いこと。姉が沢山習い事をしているから、休日も姉と母がふたりで出掛けて行くことが多い。と言いながら1度もこちらを見なかったのが頭をよぎる。

きみはきみで、いいんだけどなぁ。
愛されているんだよ、お母さんが話してる姿を見たらわかるもの。だけど伝わるのって難しいんだね。愛情って、難しいね。

息子よりずっと背が高く、何でも出来るから不器用なあの子は。

今きっと、あの時よりもっと、しあわせだと良いな。

そう思いつつ、他の子達と遊ぶ息子越しに赤く染る空を見つめた


「時を告げる」

9/7/2023, 2:27:25 AM