『コノ世カラ去リ』
花びらが揺れ落ちるのが見えた。
少し、変だ。
言葉では表せないけれど、見れば一目でわかる。
やがて花びらは着地する。
すると地面が波打つようにうごめいた。
まるで生き物のように。
なぜか地面から太陽が見えた。
その不思議な光源はゆらゆらと朧気に揺れている。
地面じゃなかった。
土だと思っていたものは、地面ではなかった。
むしろ対極と言ってもいい。
水面だった。
あれ?じゃあ今私が立っている場所は……?
下を見ると、私が見えた。
まるで水鏡のように、私がゆれていた。
8/19/2022, 3:42:24 AM