るに

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久しぶりの実家は
あまりに退屈だった。
ド田舎にある私の生まれ育った家。
そんなに思い出は残ってない。
多分取り壊されると言われても
ふーん。で終わるだろう。
でも私は
この街が好きだ。
ショッピングモールはないが、
喫茶店くらいならある。
レトロな雰囲気のこの喫茶店は
夕焼けがよく見える。
たまに「たそがれどきだなぁ」
なんて言ってみたりして。
こんな洒落た言葉似合わないけどね。
今日は母の病院の付き添い。
ちょっと成人した風に話してたけど、
実はまだ16ね。
久しぶりの実家って言うのは、
いつも喫茶店寄ってたから
夕方家にいるのが久しぶりってことね。
ちょっとややこしい?
まあいいや。
病院の入ってすぐの靴箱の横。

「ご自由にお持ち帰りください。」

と書かれた紙と共に置いてあるのは
一輪の花を飾る用の小さい瓶。
ぐにゃぐにゃとウェーブしていて
とても綺麗だ。
ここの瓶はいつも1つ持って帰っている。
スズランを飾るんだ。
カップが逆さになったみたいな花。
お気に入りの花。
その瓶に
"Good Midnight!"
って書いたラベルを貼って
自分の部屋でずっと眺めて。
時々風が窓から入ってくる。
もう10月か〜。
もみじの葉が散るまで
あとどのくらいだろうか。

10/1/2024, 2:02:24 PM