愛があれば何でも出来る、何て言う下らない精神論がある。嗚呼確かに、愛と言うものを免罪符に叫べばこの世界ではなんだって許されてしまうのだろう。
世界を滅ぼすほどの強大な力を持った魔王を庇っても、自分がいる限り悪さはさせない何て言って置けば許されるし、愛する人のためにと語れば幾らでも人を殺したっていい。
そんなはずがないだろう。愛のためにと起こしたことがすべて許されると言うのなら、その過程で踏みにじられた愛にだって行動する権利があるはずだ。
恋人を魔王に殺された魔法使いにも、邪神を愛したカルト教団の生け贄にされた無辜の民にも、ただ一人でいることを愛していただけの悪魔にだって、その愛を貫いて生きる権利があったはずだ。
被害者たちは仕方のない犠牲? 愛のための礎? そんなもの誰が認めてやるものか。
故に、我々は声をあげた。手を広げ、足を伸ばした。我々が踏みにじられたことは愛の前では些細なことだと言うのならば、我々の愛でお前達が踏みにじられることも仕方のないことなのだろう?
では存分に、我々の愛を思い知ってもらうとしよう。
5/16/2023, 11:38:13 PM