佐久夜の手記

Open App

1929年を生き、死んだ
狂人が見た夜明けの空を
明朝の私もまた、見上げるのだろう

木曽路はすべて山の中である
であれば、私はどうだろう
我が身体はすべて文明の中である、だろうか
愚かしい! 響く哄笑の虚しさよ

かの狂人は狂人であったが
生まれながらの狂人などではなかった
私はどうだ、どうなのだ?
私が私である自信はどこだ?
私が狂人でない確証はどこだ?

愚かしい! 響く哄笑の虚ろさよ
私は狂人なのか、そうでないのか
我が身体はすべて文明の中である
明朝の私に、夜明けは訪れてくれるのか

9/13/2021, 12:47:10 PM