Herz Meer

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「私、この桜と共に散ります。」

そう言って君は、春風のように吹き抜けた。
僕は、きっと酷い顔をしているから、
ただ静かに、遠のく風声に耳を澄ませる。

 微かに、花弁の落ちる音がした。

あれから4年、今年も桜が咲いている。
公園のベンチで本を読みながら、
彼女と、未来の話をした。
栞を挟んで、本を閉じる。

「その栞、もうボロボロじゃない?
でも素敵ね、桜の押し花だなんて。」

これから僕は幸せになる、君の分も、
取り返すように生きていくんだ。

あの時のひとひらを、二度と落とさないように。

4/13/2025, 1:51:48 PM