友達と飲み会でオールして、家に戻ってきたのは今朝の五時。すっかり酔いが回っていたので、部屋に着くや否やベッドに倒れ込んでしまった。
そんな郡司を叩き起こしたのは、ケータイの着メロだった。
(……この音は……)
寝惚け眼でケータイを探す。頭の回りを探して、ケータイらしき四角を掴む。画面を点けると彼女の名前が表示されている。
(どうしたんだろう……)
受話器のボタンを押した。もしもしと言いながらスピーカーに耳を当てる。
『あ、もしかして起こしちゃった? ごめんね、郡司くん』
彼女の涼やかな声が聞こえてくる。彼女は郡司の声の調子で、自分の電話が彼を起こしたことを悟ったらしい。
「いや、いつもなら……起きてる時間だし……」欠伸をこぼしながら、郡司は続けた。「でも……どうしたの? 秋穂サンから連絡くれるなんて、珍しいね」
電話口の向こうで彼女が口籠もったのがわかった。
『あ、ええとね……何か用事があったわけじゃないの』申し訳なさそうに彼女は言う。『その……なんだか郡司くんの声が聞きたくなっちゃって』
そう言うと、彼女は照れたように小さく笑った。
郡司は自分の彼女の可愛さに絶句して、しばらく何も返せなかった。
1/8/2025, 2:45:47 PM