いす

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この力で、いつか君を遠ざけて、その命の助けのひとつになれば御の字だ。それ以上望みはない。最初に望んだことはすべて叶えられてしまった。ここまでの過程で望んだこともおそらくすべて叶ったとしてもいいだろう。私によって。あるいは君によって。
「うるさいな、うるさい。聞きたくない」
君の一歩は大きいから、そして力強いから、私の望みをことごとく無碍にして踏み荒らしていく。意見の合わなさが、相反が、お互いの存在を浮き彫りにして、どうにかここまで見失わずに済んだ。だからこそ叶えられた願いによって私が構成されていると君は知らない。愛してるよ。万物すべての質量に勝るほど、深く、大きく。君はそんなもの愛じゃない認めないと唇を噛んで私を抱きしめるけど。

12/2/2023, 5:25:59 AM