月凪あゆむ

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大事にしたい

 うちにはね、なぜかいつからなのか分からないけど。
 アロエが置いてあるの。

「ねえ、おかあさん。このアロエって、いつからあるの?」
「うーん……? 実は、お母さんも詳しくは知らないの。あ、でもおばあちゃんなら、知っているかもしれないわね」
「なんで?」
「あのアロエを、誰よりも大事にしてるのはね、おばあちゃんなのよ」

「ねえおばあちゃん。あのアロエ、いつからあるの?」
「ああ、それはねえ」

「あのアロエは、おばあちゃんのおばあちゃんが、遺してくれたものなのよ」
「おばあちゃんの、おばあちゃん……??」
 うーんと……?

 考えても、よくわからない。でも、なんだかおばあちゃん、嬉しそう。
「とにかくまあ、そうさね。あのアロエは、わたしたちよりも、ずいぶんと長生きなのは、確かだよ」

 ──アロエの寿命は、100歳はゆうに超えるのよ。
 だからつまり、ずーっと遠い昔から、この家を見守ってくれてるのさ。
 そんな、色んなことを、見てきたこの植物に、おばあちゃんは愛着を持ってるのよ。

 「あいちゃく」って、なんだろう?

 ──遠い未来に、私もおんなじようなことを、孫に話すのは、この時はまだ知らない。

9/21/2023, 3:35:01 AM