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コツ...コツ...

「ヒッ...」

恐怖のあまり声が漏れる。
私が恐怖している元凶の足音は、今も少しずつ近づいて来ている。

怖い話を聞いたばかりだった。

リビングのテレビをつけ、適当な番組をつけては消してと繰り返していた。そしたら、ふと目に留まった。それだけの事。
別に観なければ良かったんだ、怖いなら。でもつい観てしまった。

【夏のホラー特集】

シンプルな見出しに少しでも惹かれたのがダメだった。次の瞬間、

「うわっ」

心霊写真が映った。
こうなったら仕方がないとでも言うようにテレビに目線を固定した。

そこからはまあお察しの通り、最後まで観てしまった。そして今に至る。


コツ...コツ...

相変わらず足音は鳴り止まない。

コツ...

足音が止まった。背中に冷や汗がつたう。

ガチャ...ガチャガチャッ

ドアノブを開けようとする音。

ガチャッ...

扉が開く音。

コツ...コツ...

歩いてくる。顔は見えない。

コツ...

また足音が止まる。

「スゥッ」
「ヒッ...!」

何かを喋ろうとしている。距離はあるが、怖いものは怖い。心音が鳴り止まない。

くる...!

「アンタまだ起きてんの〜?さっさと寝なさいよ〜」

......

「お母さん...?」
「ん〜?そうだけど?」

ホッ、安心して息をつく。

「なに?まあ、早く寝なさいね。おやすみ〜」
「あ、おやすみ...」

良かった...とりあえず今日は寝っ...

「え?」

目を擦った。幻覚?

「おっ、お母さ...!」

お母さんの後ろに立っている" ソレ "が振り返る。

「ぅぐっ..」

口を塞ぐ。振り返った" ソレ "の顔は、さっきテレビで見た心霊写真の幽霊にソックリだった。

後ろから、さっきとは違う別の足音が聞こえた。


#足音 0818

8/18/2025, 11:01:41 AM