まあまあの長い年月、我々はここで暮らしてきた。
ま、間借りではあるんだが。
大家がたまに風を入れに来るくらい以外は静かで、暮らしぶりも気に入ってた。
我々にとっては快適な住まいだったわけさ。
それが、急にがたがたと窓が開け放たれて、人が入り込んできた。
どうやら久し振りにこの家の主が定まったらしい。
いつかはこんな日が来るとわかってはいたんだけどね。
仕方ないから、今夜、ひっそりと引越し作業だ。
夜逃げとか言わないでくれよ。
我々は明るいところは苦手なんだからさ。
『突然の君の訪問。』
8/29/2024, 6:41:32 AM