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『どうしてこの世界は』

その言葉を聞いた時、彼女に対する疑念が確信に変わった。

呆然とした顔で零した彼女は、こちらのことなど気づいてもいないようだけれど。

今いる私たちのこの世界と比較できる対象を、彼女は知っているということ。

そう……
自分以外の転生者を見つけたら、嬉しいものだろうと思っていた。
実際は、とてもじゃないけどそんな気分でも状況でもない。
こんな形で出なければ、前世の話をして友人にでもなれたかもしれない。

でも、もう道は分かたれてしまった。

なぜ多くの転生者は、前世の価値観を捨てられないのだろう。
異端とされる行動に忌避感を覚えないのだろう。
新たな世界で生まれ育ったはずなのに。

拘束され引きずられるように連れて行かれる彼女と目が合わぬよう、そっと顔を背けた。

6/10/2025, 9:55:04 AM