つぶて

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やわらかな光

 炎というものは不思議と見ていて飽きない。暖炉の中でパチパチと音を立てて薪を食べていく炎は、美しい未知の生物のようでもある。水族館の水槽を鑑賞しているような気分とも言えるが、その色は実に対照的で、柔らかい。
 炎が小さくなると、手が自然に動く。薪を掴み、ぽいっと投げ入れる。そうしなければならないわけでも、そうしたいわけでもないのに、勝手に手が動くのだ。面白いほど、この行為がやめられない。
 たぶん、本能なのだ。人間の遺伝子に刻まれた本能が、私に薪をくべさせる。それは火を繋ぐ行為であり、何かが終わることを厭う行為でもある。
 思えば、私たちは何かが終わること、途切れることが苦手だ。習慣が途切れたり、番組が打ち切られたりするといたたまれなくなる。それは長いものに限らず、小説や漫画の終わり、ユーチューブの動画の終わりもそう。終わるのがイヤで、つい次を探してしまう。もしかすると、それは本能的な行為なのかもしれない。私の手が自然と薪をくべてしまうように、何かが終わることを嫌がる性質が、私たちの中にはあるかもしれない。
 やわらかな光を見ながら、私はそんなことを考えた。
 

10/16/2024, 5:41:48 PM