シャイロック

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ただひとりの君へ(特に娘に捧ぐ)

 私にとって「ただひとり」は3人いる。
ただひとりの夫と、ただひとりの息子、そしてただひとりの娘だ。
 両親が毒親だったので、私は、結婚してからが幸せで楽しくて嬉しくて堪らなかった。
 新婚の夫が夜中まで仕事で帰って来ない毎日も、共稼ぎなのに家事協力が不可能だったことも、つわりの苦しみも、ワンオペ子育ても、何もかも平気だったし、本当に幸せだった。
 実家から電車で2時間以上の距離にお嫁に来たので、親の干渉も無くなった。お金の無心は百万単位だったけど。そのうち、父は亡くなり、母は施設に入ったから尚さらだ。
 指定難病に罹った私が、今の「ただひとり」の3人に支えられて、これからどれだけ生きられるか分からないが、なるべく長く生きたいと思うのは、やはり幸せだからだと思う。
 ただひとりの君(たち)へ、幸せな日々をありがとう。

1/20/2025, 1:11:34 AM