君の心に掛かった南京錠。
いつの間にか俺達は距離が出来て、君は心に鍵を掛けた。
強引に鍵を開けようとしても、君は俺から離れていく。
「君はどこに鍵を隠したんだ?」
質問したら君は立ち止まってくれたが、俺の顔を見るだけで答えてくれない。
君の心の鍵を見つけて開けないと、このままでは終わってしまう。
そんなの……嫌だ。
だから俺は、何度も君に声を掛け続けた。
「頼む……鍵を俺にくれ……」
プライドを捨て頭を下げ、頼み込む。
君はそんな俺を見て、仕方ないわねって呆れた顔をしながら「私は持ってない。鍵はあなたが持ってる」と言われた。
俺が持ってる……?
ズボンのポケットに入っていない。
胸ポケットに……あった。
ハートの形をした鍵が。
俺は君の心に掛かった南京錠に鍵を入れて、開けた。
「あなたがそこまで私のこと想ってるなんて思わなかった……ごめんね」
「俺こそ……ごめんな」
鍵を開けた先にあった君の心の中は、すごく温かかった。
11/24/2025, 10:08:06 PM