〔嗚呼もう、うんざりだ!〕
私はそう叫んで、壁を殴りつけた。
教室の喧騒はピタリと止み、皆がこちらを見つめる。
「そ、そこまで怒鳴らなくても良いじゃねぇかよ。
いくらなんでもさ。」
壁を殴りつける程の怒りを焚き付けた奴が、びっくりしてヘラヘラと笑いながら言った。
私はその表情や、仕草にも気が経つ。
〔お前のそういう態度が一番気に障る。ヘラヘラとした、
その頭の軽そうな態度が!何故私が怒鳴ったか分かるか?
元はと言えば、お前が人の悪口を延々と言い続けるのが
原因なのが分かってるの?
私は、ハッキリと悪口を止めろって言ったのに、延々と!
それがどれだけ不愉快か分かる?〕
キツく睨みつけ、私は一息に告げる。
奴は、周りの目も合ってだろう。
そそくさと、教室を出て行った。
私はまだ奴に文句が言い足りない。本人が居ないのを良いことに、有りもしない悪い噂を吹聴している。
友人が、奴の吹聴が原因で少しの期間だが、
周囲から冷たい目で見られ、一時期不登校まで陥った。
その出鱈目な噂を撒いた奴は、不登校になった友人を
バカにする始末だった。
何故あの時、私はすぐにその噂に気付かなかったのだろうか。気付いたあとも、すぐに友人のフォローに回らなかったのだろう。もっと、噂の否定を早くしていれば。
不登校まで陥らなかったかもしれないのに。
やるせない気持ちと、後悔が心臓に纏わり付いてくる。
触手の様に、ねっとりと。ぐるぐると締め付けてくる。
その子は一応を復学できではいるが、半日登校、という状態が続いている。
私にも、今迄と大差無い対応をしていてくれるが、内心、どう思われていても仕方ない。
裏切り者とか、最低だとか。そんな風に思われていて居ても。
あの子は私の事を、もう友達とも何とも思っていないかもしれない。
ごめんなさい、もっと早く気付けなくて。
ごめんなさい。
8/24/2023, 11:26:31 AM