【夜明け前】
今日もまた、眠れない。
僕は夢遊病でいつも人を傷つけ迷惑をかけてしまう。
それがきっかけで眠る事が怖くて怖くて、
眠るという事が難しくなってしまった。
だが、その日はいつの間にか眠ってしまっていた。
そして夜明け前、僕は目が覚めた。
僕は眠れたことに安堵を覚えた。
だが、それも一瞬だった。何故なら、
右手に、血の付着した出刃包丁が握られていたから。
隣には、母の遺体。
夢なら幸せなのに。どうか数時間前に戻してくれ。
頭の中の整理がつかず、1人で部屋をくるくる回り
必死に考えていた。僕はこの瞬間から人殺しなんだ。
だが、この時の僕は知らなかった。
全てが母の手の内ということを。
これを愛と呼ぶべきか、僕への執着と呼ぶべきか。
僕は永遠に母に囚われ生きるしかないんだ。
9/13/2023, 10:59:58 AM